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放射線治療について

放射線治療について

放射線治療とは、主に体の外側から放射線をがんに絞って照射するものです。一般的には写真のようなリニアックという装置を使って発生させたX線を使いますが、その他にも陽子線治療や重粒子線治療も使う放射線の種類が異なりますが放射線治療の一種です。
また、放射線が発生する物質を体の中にいれて、体の中から放射線治療を行う治療方法もあります。密封小線源治療やRI内用療法がこれに当たります。こういった体内からの放射線治療は隔離施設が必要であったり、高額な医療機器が必要なこともあり、かなり限られた施設でしか行っておりません。
粒子線治療を含めて必要な治療は他の施設に紹介して治療を行ってもらっています。

放射線治療においては事前にがんの拡がりをCTやMRI, PET検査によって確認し、どの範囲に、どのくらいの放射線を照射するかを設計します。これを放射線治療計画といい、これに基づいて連日照射されます。一般的に1日1回 10-20分程度、総計10~30回の治療が行われます。治療回数は近年少なってきている傾向にあります。なかには1回のみで治療が終了することもあります。詳しくは治療前に各施設にて説明があると思います。週に1回放射線治療専門医の診察があり、副作用の状況やがんに対する効果を確認していきます。中には途中で前述の放射線治療計画をやり直す場合があります。

費用

費用は一般的には毎日少しずつ支払うことになります。初回には治療の設計をした経費も含まれてくるので高くなりますが、2回以降は3割負担の方で4~6千円程度の支払いとなります。特殊な治療では1回目の治療の際にまとめて支払うこともあります。中には大変高額になることもありますので、詳しくは各施設でお尋ねください。

副作用

放射線治療は一般的に副作用は軽微なことが多いので通院治療が可能なことが多いです。
しかし、放射線を照射する範囲が大きい場合や腹部や頭部に照射する場合に嘔気や倦怠感、食欲低下が起こることがあります。その他、放射線を照射する部位ごとに異なる副作用が起こり得ます。照射する範囲や線量によっても頻度が異なります。また小児の場合は大人とは異なる副作用がでることもあります。こちらも事前に医師から説明があると思いますが、大まかなものを部位ごとに分けて以下に記載しております。これらの副作用は併用する抗がん剤によって増強されることもあります。

  • 頭部:嘔気、脱毛、耳閉感
  • 頸部:皮膚炎(発赤やかゆみ)、口内炎や咽頭痛、味覚障害、口腔乾燥、甲状腺機能低下
  • 胸部:皮膚炎、食道炎(飲み込むときのつかえ感や痛み)、放射線肺炎
  • 腹部:下痢、消化管出血
  • 骨盤:下痢、頻尿、会陰部痛、消化管出血、血尿

放射線治療に関わる医療スタッフ

放射線治療には多くのスタッフが関わっています。
まずは放射線科の医師です。研修医が終わり、放射線科専攻医、放射線科専門医となり、すべての専門研修が終わり、試験に合格すると放射線治療専門医となります。
つぎに看護師です。なかには資格を更に取って放射線療法看護認定看護師もおります。看護助手さんもいます。
それから診療放射線技師です。こちらも資格を取って放射線治療専門放射線技師もいます。彼らは日々の放射線治療を医師が作成した設計通りに照射してくれます。
さらに品質管理士や医学物理士といった職種の方です。彼らは放射線治療機器の品質管理を行ったり、医師が行う放射線治療計画のサポートを行います。
また受付などの事務作業を行う方々もいます。
これらの多くの職種の方々がいて放射線治療は成り立っています。

県内放射線治療可能施設

東北大学病院、宮城県立がんセンター、大崎市民病院、石巻赤十字病院、仙台医療センター、東北医科薬科大学病院、東北労災病院、みやぎ県南中核病院、仙台市立病院、気仙沼市立病院、仙台厚生病院、宮城県立こども病院、仙台総合放射線クリニック


(文責:東北大学病院放射線治療科 
教授 神宮啓一)

放射線治療についてQ&A

放射線治療は保険がききますか?

はい。ほとんどの治療は健康保険診療の適応となっています。

初診の日から放射線治療を受けられるのでしょうか?

いいえ。どの範囲にどれくらいの放射線量を照射するかなど設計が必要となります。施設によって異なりますが、照射開始までに1~2回は通院いただくことが多いです。ただし、患者さんの状況によっては初診日だけで治療を完遂することもあります。

放射線治療中は必ず入院が必要ですか?働きながら治療を受けられますか?

はい。1日10-20分で治療が終わることが多く、また副作用が軽微なことが多いので通院で治療が可能なことが多いです。働きながら治療を受けられている方も多くいます。

放射線治療を受けた後、隔離が必要ですか?

いいえ。一般的な体の外から放射線を照射する治療の場合は隔離は必要ありません。また治療終了直後から乳幼児を抱っこしても問題ありません。

乳がんの術後治療として放射線治療を受けるのですが、髪の毛は抜けますか?

いいえ。放射線を頭部に照射しない限りは抜けません。

どこの病院でも放射線治療は受けられますか?

いいえ。放射線治療を行うには高エネルギーのX線を発生させる医療機器が必要ですので、一般的な病院にはないことが多いです。県内にはがん拠点病院と言われる総合病院を中心に13施設で受けられます。

放射線治療は末期患者さんにだけ使われるのでしょうか?

いいえ。昔はそうだったこともありましたが、最近は早期がんの方にも使われることも多いです。また手術と組み合わせて再発予防として使われることもあります。

IMRT(強度変調放射線治療)とは何ですか?

IMRTとはコンピューターを用いて、あらかじめ臓器あるいはtarget毎に放射線の上限下限などを設定し、その優先度からコンピューターに逆算させて(インバースプラン)、照射野の形状を変化させたビームを複数用いて、腫瘍の形に適し、かつ危険臓器の被曝を抑えるように、放射線治療を行う照射方法です。腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になります。施設によってはこの照射技術ができないこともあります。

粒子線治療とは何ですか?

粒子線治療とは陽子あるいは炭素イオンを特殊な装置で加速して体の外からがんへ照射する治療です。X線の代わりにこれらの粒子を使います。この治療法のメリットは狙った場所に放射線を絞りやすいことです。正常組織への被ばく量を抑えることが可能です。施設が限られることと(東北地方では総合南東北病院と山形大学病院)、健康保険適応となる疾患が限られる、医療費が高額であるという問題もあります。詳しくは放射線治療専門医にお尋ねください。

RI治療とは何ですか?

RI治療とは密封されていない放射線同位元素を内服あるいは注射で投与する方法です。疾患によって使う放射線同位元素が異なり、腫瘍に選択的に取り込まれるように工夫されています。これにより取り込まれた腫瘍細胞にのみ効果がでるようになっています。しかし、中には数日間の隔離が必要なこともあり、そのような薬剤は使用できる施設が限られます。

放射線治療についてもっと知りたいのですが。

各放射線治療施設のHPをご覧いただくか、以下の日本放射線腫瘍学会のHPにアクセスしてみてください。

 ■日本放射線腫瘍学会
リンク:https://www.jastro.or.jp/customer/qa/

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